1オーディション企画書
タイトル
零から一なんて生まれない
サブタイトル
子どもを守るのは「1+1」だった。
18年・2000人の現場が見つけた、見えない土のつくり方。
著者略歴
公文式教室指導者。
国立大学教育学部(自然系)卒業。
幼稚園・小学校・中学校(数学)の教員免許を取得。
卒業後は金融系の大規模システム開発に携わるシステムエンジニアとして勤務し、数十億円規模のシステム提案に関わる。
速度と最適化が徹底されるITの現場で、仕組みのブラックボックス化が進み、「なぜそうなるのか」を考えなくても成果が出てしまう社会構造を、内側から目の当たりにした。
その経験は、便利さの裏で思考の過程が外部化されていくことへの問題意識につながっている。
その後、18年にわたり公文式教室を2教室運営し、約2000名の子どもと向き合ってきた。
現在は2教室あわせて百数十名が在籍。
2歳から大人まで幅広い世代が通い、5年以上継続する生徒も多い。
学習の遅れを抱える子、発達に課題のある子、机に向かうこと自体が難しい子どもも受け入れてきた。
教室に「落ちこぼれ」という概念はない。
あるのは、その子に合った段階がまだ見つかっていない、という事実だけである。
難関公立中高一貫校や公文国際学園への合格者を多数輩出し、全国の公文式教室の中で合格者数1位となった年もある。
しかし重視してきたのは合格実績そのものではなく、「速く正解を出す力」と「人生を生き抜く力」を同時に育てることだった。
教育を教室の中に閉じず、地域に人を集める場をつくることにも力を注いできた。
昨年は葉山町の100周年記念事業として、著作家・山口周氏と下間都代子氏によるコラボ講演会「100年後の子どもたちに必要なこと」を主催。
葉山未来共創プロジェクトを立ち上げ、企画から会場の確保、98名の集客、当日の運営までを担った。
また、著作家・長友妙子氏と下間都代子氏による出版講演会では、主催として運営に携わった。
かつては、公文式に批判的な立場から出発した人間である。
それでも18年間、この教室の扉を開け続けてきた。
基礎を曖昧にしたまま子どもを社会へ送り出してはならない。
その確信だけが、いまも変わらずに残っている。
何のための本か?
「これからは、答えを出す力ではなく、問いを立てる力です」。
「正解はAIが出すのだから、自分で課題を見つけられる子に育てなさい」。
いま、親のもとにはこの言葉が降り注いでいます。
その通りだと思います。
けれど、では明日の朝、何をすればいいのか。
それを教えてくれる人は、どこにもいません。
そもそも、問いは、どこから出てくるのでしょうか。
何も持たない(零)子の中から、問いが湧き上がってくるでしょうか。
そんなわけありません。
「私は誰? ここはどこ?」状態です。
問いは、知っていることと知らないことの境目に立ったとき、はじめて生まれます。
問いを立てる力を育てるには、それなりの準備が要るのです。
一は、零からは生まれません。
見えない土を、先につくっておく必要があります。
この本は、その準備についての本です。
必要なのは、特別な体験でも高価な教材でもありません。
では、土とは何か。
畑の土が砂と違うのは、雑多なものが分解されて栄養になっているからです。
枯れ葉も、虫の死骸も、目に見えない微生物も、すべてがそこで働いています。
子どもの土も同じです。
めんどうな反復。
うまくいかなかった時間。
間違えた跡。
一見むだに見えるものが分解されて、はじめて問いを支える力になります。
迷ったときに立ち戻れる場所。
情報があふれる中で、揺らがずに選び取るための、自分の内側の支え。
それが土です。
本書が目指すのは、点数を上げるための教育ではありません。
子どもが自分の人生を引き受け、迷いながらも考え続け、最後までやりきる。
その力を家庭でどう育てるかを、教育現場の実感から書きます。
企画意図・趣旨
土は、どうすれば育つのか。
本書が注目するのは「計算」です。
計算は、知識量を競う学習ではありません。
自分のレベルに合った課題に向き合い、
逃げたい気持ちを抱えながら手を動かし、
間違え、めんどくささに打ち勝って考え直し、最後まで解ききる。
その全過程を、毎日15分という短い時間の中で何度も経験できる。
やりきる経験を、最も小さく、最も再現性高く育てられる方法です。
「1+1」ができた最初の感動を、わたしは何度見せてもらったことでしょう。
18年間、約2000名を見てきて確信したことがあります。
子どもが変わるのは、計算が速くなった瞬間ではありません。
「自分でできた」と実感した瞬間です。
差を分けるのは才能ではなく、経験の設計です。
しかし、いまこの土が痩せています。
原因のひとつは、皮肉にも「褒めること」です。
できたことを大げさに褒められて育った子は、できない自分を見せたくなくなります。
褒められる興奮が、もっと褒められたい気持ちを育て、「できることだけやればいい」へと傾いていく。
私は教室で、その分かれ道を数えきれないほど見てきました。
褒めるべきは、結果ではありません。
始めたこと。
投げ出しかけて戻ってきたこと。
そして、自分で考えた跡です。
実際に、いつも叱られてやる気を失っていた子が、「取り組んだこと自体を褒める」だけで走り出しました。
本書は精神論ではありません。
明日の食卓で使える声かけと、1日15分の設計図です。
土が豊かになれば、一は、勝手に生えてきます。
零に見えていた場所は、零ではなかったのです。
読者層
・小学生から中学生の子どもを持つ30〜50代の保護者。
便利になりすぎた社会の中で、わが子に必要な力が育っているのかに不安を感じている層。
・詰め込み教育にも、完全な放任にも違和感を覚え、「主体性はどう育つのか」を静かに考え直したいと感じている親。
・「褒めて育てる」を実践してきたが、子どもが失敗を避けるようになったと感じている親。
・幼児期の子を持ち、これから何をさせるべきか迷っている親。
・学習塾、学校、学童など、教育の現場に立つ指導者。
・基礎学力と非認知能力の関係を、現場の言葉で捉え直したい教育関係者。
類書
本書は、AI時代における基礎学力と非認知能力の関係を扱う点で、以下の書籍と同じ棚に置かれると考えられる。
・『「学力」の経済学』中室牧子(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
教育投資と学力の関係をエビデンスに基づいて分析し、基礎学力の重要性を示した書。
・『やり抜く力 GRIT』アンジェラ・ダックワース(ダイヤモンド社)
成功要因としての「やり抜く力」を心理学的に体系化した書。
・『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子(東洋経済新報社)
AI時代における読解力・基礎学力の課題を提示した書。
類似書との相違点
三冊はいずれも、「何が足りないか」を明らかにした名著です。
読解力が危うい。
褒め方には効果の差がある。
やり抜く力が人生を左右する。
どれも正しい。
けれど読み終えた親が最後に抱えるのは、同じ問いです。
「それで、明日の朝、私は何をすればいいのか」。
本書の違いは三点あります。
第一に、研究データではなく、18年間・約2000名という一つの現場で「再現され続けた手順」を書きます。
理論の紹介ではなく、設計図です。
第二に、抽象度を徹底的に下げます。
「非認知能力を育てましょう」ではなく、1日15分の計算という、最も小さく、最も再現性の高い単位まで落とし込みます。
やり抜く力は、特別な体験の中だけで育つのではありません。
毎日座る、その机の前で育ちます。
第三に、褒めることの「副作用」まで踏み込みます。
褒め方を勧める本は数多くありますが、褒めることが子どもから挑戦を奪う瞬間を、現場の具体例とともに書いた本を私は知りません。
本書は、褒めることを諸刃の剣として扱います。
そして根本的な違いは、立ち位置です。
AI時代を語る本の多くは、大人のキャリア論として書かれています。
本書は、まだ何者でもない子どもの側から、そして毎日その子と机を挟んで座っている人間の側から書かれます。
また著者自身が、かつて公文式に批判的な立場から出発しているため、単なる学習法の肯定ではなく、「なぜ基礎がAI時代において意味を持つのか」を構造的に問い直している点も、本書ならではの視点です。
この本が売れるためにご自身ができること
一、いま通っている百数十名の家庭。
現在2教室に在籍する百数十名の子どもとは、週に二度、机を挟んで向き合っています。
名簿ではなく、いま続いている関係です。
保護者の方へは、教室からのお便り、教室での掲示、そして定期的な面談の場を通じて、直接お伝えすることができます。
二、いまもつながっている卒業生と保護者。
18年の中で、卒業後も個人的に連絡を取り合っている方々がいます。
数は多くありませんが、長く通い、いまも関係が続いている方々です。
こうした方々は、本を買うだけでなく、周囲に手渡してくださる読者になります。
三、保護者間の口コミ。
学習教室は、地域の保護者ネットワークが自然に交差する場所です。
一人の親が納得した本は、同じ学年、同じ地域の親へと横に広がります。
四、全国の公文式指導者ネットワークへの展開。
同じ悩みを日々抱えている指導者は、そのまま推薦者になります。
一人の指導者の背後には、数十から百数十の家庭があります。
五、執筆過程の全面公開。
note、X、Substack、Instagramの4媒体で、本書の骨子となる「褒め方」の連載をすでに開始しています。
完成した本を売るのではなく、書いていく過程で読者を増やします。
六、YouTubeでの映像発信。
教室で実際に起きた「できるようになる瞬間」を、短編動画として継続的に発信します。
七、講演会の開催経験。
昨年、町の100周年記念事業として、著作家・山口周氏と下間都代子氏を迎えた講演会を主催しました。
企画から会場の確保、集客、当日の運営まで、一通りを経験しています。
また、『信頼を着る』(三笠書房)の著者・長友妙子氏と下間都代子氏の出版講演会では、主催者として運営の一部を担いました。
本書の刊行記念講演も、同じ手順で組むことができます。
自治体、PTA、学校、教育団体に向けた少人数・対話型の講演も展開できます。
八、先行読者(サポーター)制度。
出版前から原稿を読み、意見をくださる読者コミュニティを組織します。
発売初週に動く読者を、あらかじめ確保します。